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初恋抄(48)フウさん 2023年5月30日更新

 20年ほど前、わかば川柳会にフウさんが入会した。彼は彫師(刺青)で、それはそれはいろんな経験をされているので、みんなフウさんの話に興味深々。川柳は半年くらいで作らなくなってしまったが、私達の付き合いはいまだに続いている。

 私達と付き合うと、行事に駆り出される。吉野ケ里大会(200名分のタケノコ掘り・会場設営・片付け)、卑弥呼の里女流川柳大会(会場設営・メンズ賞選者・女子会の準備・片付け)、この二大行事は必ず手伝ってもらう。彼はそれを喜んでやってくれる…と言いたいが、毎回めちゃめちゃ嫌がる。

久「吉野ケ里大会の日程決まったけん」

フ「あっそ。じゃ、元気でね」

久「待って待って!今年まで手伝ってさぁ!」

フ「今回で終りけんね!もうせんけんね!」

 今年のタケノコ掘りも舎弟を連れて手伝いに来てくれた。吉野ケ里大会は中止だったが、タケノコ山は掘らなければ竹が群生してしまうので毎年お願いされているのだ。

フ「あ~疲れた。もう来んけんね。」

久「女流大会は7月30日に決まったけん」

フ「知らん」

凉・芽「フウさん手伝ってね♡」

フ「うん♡」

毎回、こんなやりとりが普通になっている。

 10年前、凉と芽の母親が自分探しの旅に出てしまい、両親のいない二人を心配してたくさんの人が会いに来てくれたり、二人を遊びに連れ出してくれた。年を追うごとに親のいない状況が当たり前になってきて、そういうことも減ってきたのだが、いまだに二人の大好物のシュークリームを買って様子を見に来てくれるフウさん。二人の書いた作文を読んで、秒で泣き出したフウさん。軽トラを買ったくせに、我が家に利用されるのが嫌で内緒にしていたフウさん。私達家族はフウさんのことが大好きだ。またフウさんが作句してくれることを密かに願っている。




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