top of page

初恋抄(10)凉、初めての大会選者2020年3月2日掲載

令和2年2月23日開催予定だった第一回熊本県川柳研究協議会川柳大会が新型コロナウイルスの影響で中止になった。大会前日の中止発表は代表の黒川孤遊さんのご英断だったと思う。

姪の真島凉が、その大会の選者の一人だった。現在中学三年生で、中学生の選者など前代未聞だろう。2年前の毎週web句会第100回での選者が人生初だったが、大会での選は初めて。私が「毎週webみたいにすれば大丈夫よ」と言っても「それは文ちゃんがいるけんやろ?リアル大会は一人で披講せんばやん。がばい緊張すっ」っとブツブツ言っていた。この大会は事前投句のみで、選は大会前に行う。事前投句が届いたときも「ネエタン、凉で良かとやか?不安しかなかよ~」と言いながら「アレ?入選句が足りない…」なんて言っているし、どうなることやらと心配していた。中止の連絡が来たときは、悔しいようなほっとしたような顔をしていた。

先日、選者の謝礼が郵便で届いた。凉は学校だったため机の上に置いた。どんな顔をするだろうかと楽しみに帰りを待つ。夕方帰ってきた凉は「これなん?」と言いながら開封。「わっ!!!ネエタン!ミッコちゃん!!お金もろうたよ!!」と、とても嬉しそうだった。 凉「こがんいっぱいもらって良かと!?」 私「よかよか。一生懸命に選したとやけん、ありがたくもらっときんしゃい」 凉「先にじいちゃんに見せとく!」と、謝礼を仏壇に上げる。 そして黒川孤遊さんへ電話をし「凉ね、初めて給料もらったよ。ありがとう!」と何度もお礼を言っていた。まだアルバイトもしたことがないのだから、そうとうビックリしたのだろう。私は初恋抄を書くときも、いろんな川柳誌の近詠鑑賞を書くときもいつも「なんば書こうかな…」と言っているらしく、「凉もいつか絶対にこのことを書く日が来るよね。ネエタンみたいに悩まんでいいように、この封筒は一生の宝物でとっとくよ!」と、ファイルに入れて引き出しに仕舞っていた。

選者を依頼されるということは、チャンスをいただくということだ。たくさんのチャンスをいただき、私はここまでやってこられた。凉も芽も、この毎週web句会では二度も選者をさせてもらった。凉は中学生ながら今回の大会の選者を依頼いただいた。それがどんなにすごいことなのか自覚しているだろうか。選者をする中学生がすごいのではなく、中学生に依頼する方がすごいのだということを分かっているだろうか。依頼してくれる方への感謝を感じてくれているのなら、二人が小さい頃から川柳をしてきたことは大成功だと思っている。

閲覧数:31回0件のコメント

最新記事

すべて表示
bottom of page