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初恋抄(17)背中を、押したい2020年10月1日更新

私が代表を務めている「わかば川柳会」の会報作りで入選句を入力していたとき、句箋を順番に止めていたクリップが外れて最後の数枚がバラバラになってしまった。止めの句にはマークをつけるようにいつも言っているのだが何も書かれていなかったので、多分この順番だったという感じで元に戻してみたが、止めの句が中八だった。中八が絶対悪とは思わないが、その句の中八は不必要でリズムを整えられる中八と思われた。「えっと…まさかこの句が止めの句?」疑問でいっぱいだったが、選者は私ではないのでどうすることもできない。その句会に私が参加していたら覚えているのだが、所用がありその月は休んでいた。記憶を辿ることができないので電話で確認して、中八のその句を止めの句に打ち込んだ。しかもその月は、別の選者の止めの句も中八だった。

父が生きていた頃は、進行等句会に関することはすべて父がしていたので、私は座っているだけでよかった。作句の注意点についても父が話すことを黙って聞いているだけだった。だが、もう父はいない。父の指導に異議を唱えたことはなかったし、私が句会でなにか意見を言うこともなかったが、今は句会に参加するメンバーに「私の意見」を伝えなければならない立場である。私はわかば川柳会のメンバーに上達してほしいと心から思っているので、なるべくキツイ言い方にならないように、今回のことを伝えてみた。

「中八は絶対悪ではないけれど、止めの句が中八で本当に納得する?字余りでも素晴らしい句はたくさんあるけれど、でもそれは、その発想が音字数を超えているからであって、無駄な字余りを許容するべきではないと思う。例えば、佐賀県文学賞の一席が中八だった場合、皆さんは何も言いませんか?『一席だけど中八だったわよね~』って言うでしょ?ここは勉強会の場だからこれでも構わないけれど、私はこれから皆さんに安心して選者を任せられるようになってほしいと思っているので、音字数についてはもっと意識して選をしてください。」

みんな真剣な顔で聞いてくれた。「確かにそうね。小さな句会も、もっと疑問を持って参加した方が有意義ね」そう言ってもらえてホッとした。いろんな意見があると思う。「楽しい楽しい仲良し川柳クラブ」もいいだろう。でも私はやっぱりもっと上達してほしい。言い過ぎだと父に叱られるかもしれないが、私が感じたことや思ったことを発信することで、みんなの川柳に対する気持ちに芯が、たとえそれが小さいものであったとしても、できてくれるならば、どんなことでも発言していきたい。みんなの背中を押せるような指導者になることが、私に川柳を与えてくれた父への恩返しだと思っている。

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