私が住んでいる、佐賀県吉野ヶ里町の人口は令和4年5月現在16,142人。東脊振村と三田川町が合併して吉野ヶ里町になったのだが、この人数はなかなか多いのではないかと私は思っていた(我が家は東脊振村側)。でも「この町は知り合いばかりなんじゃないか」と思う事件が昨日起こった。
我が家の二階で開催している「わかば川柳会」は、毎月第二月曜日の18時から21時まで。そこに隣町から、電車とタクシーで参加している加代子さんという女性がいる。同じく隣町から参加している人が休みだったので、帰りは私が加代子さんを家まで送った。 加代子さんを送り届けて我が家へ帰る途中、暗い路地を車で走っているとお爺さんが道端でなにか探し物をしているようだった。雨が降っていたので、水がかからないように静かに追い越す。時計を見ると22時。よく考えると、こんな時間に道端にしゃがみこんで何かを探すなんておかしい。ひょっとして具合が悪いのかもしれないし、探し物をしているなら車のライトで照らして一緒に探そうと思い、すぐにUターンした。 「大丈夫ですか?」とお爺さんに声を掛けたのだが、息が荒い。四つん這いで起き上がれない状態だった。「とりあえず座ろうか。家が分かるなら送るけん私の車まで歩ける?」とその場に座らせた。「具合が悪かなら救急車を呼ぶよ」と言ったが、「よかよか」とお爺さん。しかし明らかに様子がおかしい。近くに知り合いの麻奈さんが住んでいるので電話して助けを呼ぼうと思ったが、慌てて車から降りたので携帯は車の中。でもお爺さんは私に寄りかかって座っていて、携帯を取りに行くこともできない。私は心の中で「麻奈さーん!来てくれー!!」と何度叫んだだろうか。 すると信じられないことに、麻奈さんが二匹の犬を連れて散歩に出てきた。「あれ?久美子ちゃんどうしたと?」という麻奈さんの声に心底驚いた。私はこれまでの経緯を話し、麻奈さんは家から椅子を持ってきてくれた。そうこうしていると、白い軽自動車が止まり二人の女性が降りてきた。 「大丈夫ですか~?どうされました~?」なんと川柳会のメンバーの雅代さんと康子ちゃん親子だ。この二人は看護師なので、すぐにお爺さんの脈拍を測り、車からシートを持ってきて体を温めた。そして両脇を「せーの!」で抱えて椅子に座らせた。そしてお爺さんの名前を聞くと、麻奈さんが連絡先が分かるという。お爺さんの家に連絡して家族が迎えにきてくれることになり、一安心。それにしても名前を聞いただけで連絡先まで分かる麻奈さんはすごいなと感心した。 雅代さんと康子ちゃんに「なんでここにいると?」と聞くと「引っ越しの手伝いで北九州まで行ったとよ。今日はわかば川柳会って知っとったばってん行けんでゴメンゴメン」とのこと。私は三人にお礼を言って家に帰った。
家に帰って考えてみる。そういえば買い物に行っても「あら、久美ちゃん最近どうね?」と声をかけられるし、温泉に行っても「久美ちゃんも来とったとね~美智子さんは?」と言われる。合併して人口も増えたけれど、実はめちゃくちゃ狭い町ではないか。偶然が重なる不思議な体験だったので、ここに書かずにいられなかった。神様って、本当にいるのかもしれないな…なんて思っている。
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田舎の文化というか風習というのはいいね、困っているひとには声を掛けるし、挨拶も見知らぬ人にさえ交わす。そこへいくと都会は違う「隣の人は何する人ぞ」的で、道端で酔っ払って寝込んでいる人のよこを平気で歩いていくし間違えば跨いで行く人もいる。だからちょっとほっこりした話でした。。でもね、日本って狭いぞ!吉野ヶ里よりも狭いかも。
僕なんか、新宿の歌舞伎町で近所のスーパーのおばちゃんに出くわしたことがある。
北海道のオシンコシンの滝でもいつもの泉で一緒になっているオジサンにも会った。
どっちもびっくりしたけど・・・
まあ悪いことはできないっていうことかな。