令和4年7月31日、卑弥呼の里女流川柳大会を開催した。会場の使用許可が下りず二年間休んでいたので、やっとの開催だ。例年なら「よし!やるぞ!!」とやる気に燃えているのだが、今回ばかりはどうしても前向きな気持ちになれなかった。それは、このコロナ禍の三年間で大会に参加する側だった自分の気持ちが一番大きい。他県から行くことを嫌がる人だっているだろうとずっと思っていたからだ。どこもかしこも誌上大会に変更になり、柳友に会うにはリアル開催される大会に行くしかなかった。それがどんなに遠い場所であっても、時間が許す限り参加し続けてきた。嫌がられるかもと思いながらも大会の席に座った。
そして今回、自分が大会を開催する側になり、心からみんなに来て欲しかったが、大会参加に前向きでない人の考えを否定することはできない。複雑な気持ちの中で、とにかく来た人に喜んでもらおうと、参加賞や賞品を揃えた。大会が近づくにつれて新型コロナ感染者が爆発的に増え、大会二日前には台風まで発生。何人もの人から連絡があり、
「家族から止められた」
「ちょっと今は怖いからゴメン」
「濃厚接触者になった」
など、その数に私が一番驚いた。欠席の連絡なんてしなくてもいいのに、みんなわざわざ連絡してくれるのは気にかけてもらっている証拠だ。なんとしても大会を成功させなくてはならないと自分に言い聞かせた。
大会当日、佐賀県や隣の福岡県のほか、大阪府、三重県、愛媛県、鳥取県からの参加があり、会場は大いに盛り上がった。今までで一番少ない参加人数ではあったが、だからこそ全員の自己紹介やゲームなどたくさんのイベントをすることができた。佐賀県には、県内だけで川柳をしている人が多く、こうやって県外で活躍されている選者に選をしてもらえる機会があるのも素晴らしいことだと思う。私は司会をしていたので一番前に座っていたのだが、参加いただいた一人一人の顔を見ながら、ありがたくて涙が出た。今年の卑弥呼の里女流大会を、私は一生忘れない。
最後に上位入選句をご紹介します。
「怪しい」 平井美智子 選(大阪府)
人・ひまわりが怪しい顔をしています 真島 芽
地・泣いているのに微笑んでいる写真 斉尾くにこ
天・怪しさは欲熟す実も青い実も 河内やすこ
「色」 斉尾くにこ 選(鳥取県)
人・おんな夏卑弥呼の里に染まります 河内やすこ
地・国挙げて国防色に染まりそう 中島俊子
天・素晴らしい色だ茶色のお弁当 真島 凉
「パワー」 青砥たかこ 選(三重県)
人・わたくしのパワーが詰まる冷蔵庫 平井美智子
地・クラゲだって力いっぱい泳いでる 郷田みや
天・女子会とカボチャ切る時出すパワー 萩原奈津子
「秘密」 郷田みや 選(愛媛県)
人・ダンボール製の鍵です秘密基地 真島 芽
地・石だったことはもうガス燈のなか 斉尾くにこ
天・妖精を見たからお口チャックする 真島 凉
「氷」 萩原奈津子 選(福岡県)
人・氷山が崩れる音に目が覚めた 向井初子
地・閉ざされた心とけだす時期を待つ 徳渕康子
天・ロックアイス話し相手が欲しくなる 郷田みや

Comments