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初恋抄(44)言葉 2023年1月31日更新


 第11回卑弥呼の里誌上川柳大会の投句受付を締め切り、やっと選者の先生方へ送る準備が終わった。投句の締切は1月15日消印有効なのだが、毎年13日~17日に一気に届く。ポストに入りきらないので、郵便屋さんからの手渡しだ。皆さんのご参加、本当にありがとうございました。

 今月は、初恋抄(42)に書いた、姪の芽のエッセイを転載します。


「言葉」  真島 芽


 私の祖母は、古い電子辞書を使っています。そこには当然ながら今年の流行語など載っていないので、分からない言葉があると私や姉の凉に聞いてきます。「映えるって『ばえる』って読んでいいと?」なんて聞いてくるけれど、もうその言葉も私達の中では死語に近いものです。略語や新しい言葉を川柳に使いたいけれど、どうせなら入選したいと思ってしまうので句に使うことはほとんどありません。叔母に「選者室で分からない言葉があったらどうすると?」と聞きました。叔母はググる(Googleで検索する)と言っていましたが、他の選者さん達がググっている姿はほとんど見ないそうです。ググらないと分からない言葉は選者に通じない。もうその時点でアウトなのかとがっかりします。私も何度か誌上大会や句会の選者をしたことがあるのですが、私は古い言葉や分からない漢字をググりました。今の選者の先生たちも、新しい言葉をググってくれたらどんなに楽しくなるだろうかと思います。俳句や短歌の世界のことは分かりませんが、川柳で同世代の人に出会うことはほとんどありません。「選者に寄り添うことも大事よ」と言われるけれど、だったら作者にも寄り添ってほしいと思うのです。

 川柳は十七音字の文芸なので、似たような句は多いし、私自身も作りながら「この句は前にも書いたような気がするなぁ」と思うことが多々あります。今の私が使っている言葉で詠むことができたら、今しか作れない句が詠めます。それはきっと時の流れと同時に古くなっていってしまうのかもしれませんが、それでもそれが「今の私」です。入選しなくてもいいならどんどん使っていきたいけれど、私はせっかく大会に参加するならば入選したいです。入選するように作るのか、自分の好きなように作るのか、いつも迷っている大会前夜です。

(熊本番傘お茶の間川柳会『壷』第31号より転載)


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